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ニコン レンズ Ai Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5S

  • 調子 : (中古) とても良い状態
まずはAi Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5Sの変遷を追ってみましょう。1983年にAi Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5Sが発売されます。ちょうどF3HPやFM2などの新生ニコンカメラの交換レンズとして誕生しました。初期のAiニッコールは既存のnewニッコールレンズのお面換えでした。しかしF3やEMが発売される80年代になると、スペックアップした新設計のAiニッコールがたくさん開発されるようになります。このレンズもそんな時代の中で開発された一本でした。その後AFの時代が到来。評判の良かったAi Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5Sは光学系を流用して、1986年にAi AF Zoom Nikkor 35-105mmF3.5-4.5Sに進化します。そしてAF時代も創成期から円熟期に向い、このレンズも光学系不変で鏡筒のデザインがリニューアルされます。その結果1991年に1.5操作と称されたズーム機構(直進ズーム+ピントリング)を持ったAi AF Zoom Nikkor 35-105mmF3.5-4.5S(NEW)が誕生するのです。そして1994年、光学系を一新してIF化したAi AF Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5D(IF)の発売によってその役目を終えます。販売期間は約11年間、ニッコールとしてはロングランだったと言えます。
¥5,800

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説明

Ai Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5Sの光学系を設計したのは、開発当時研究所第一研究課に所属していた高橋友刀氏です。高橋氏は元々光学設計ソフト開発、特にオプティマイズ(自動設計)の専門家でした。「レンズ設計―収差係数から自動設計まで」という著書は高橋氏の手によるものです。当時の高橋氏は日々光学理論の追求とソフト開発に勤しんでいました。研究所には脈々と続く、強力な内製光学設計ソフトがありました。高橋氏はその開発の一端を担っていたのです。そんな高橋氏がカメラレンズを設計することになった背景は、実に深い理由があったのです。

その昔、日本光学工業(現ニコン)には光学設計開発に携わっている方々が、事業部ごとに散らばっていました。当然、各々の設計者は製品に特化し、深堀してその道のプロフェッショナルになっていたのです。しかし、それではグローバルな視点が少々弱い。自分の専門以外の光学系は、世の中には星の数ほどあるわけです。今まで越えられなかった壁を違う視点で見る。そんな柔軟で幅広い知識が必要な時があるのです。そこで社内の光学設計者を一つに集結させるという、古くから脇本先生が考えていた組織構想がついに実現したのです。特に写真レンズは古くから研究所と事業部の二つの部門で光学設計をしていました。その二つの部署を一つに統合する。そんな組織再編の時、ドラマが生まれたのです。今まで最良の設計解が見つからなかったズームレンズ、そのレンズをお題に両課のエキスパートによる光学設計コンペをする。そしてその結果でリーダーを決める。今でこそ設計コンペは当然の様に行われますが、当時は「一つの製品に一人の設計者」が当たり前の時代でした。ところが今回は二つの課がエキスパートを出し合って競い合うのです。そのお題が「35-105mmF3.5-4.5」でした。もちろん、光学性能の目標、大きさの目標、その他多くの制約条件がありました。特に重い制約が「アタッチメントサイズ52mmφ必達」でした。御存じのとおり当時のニッコール交換レンズは、アタッチメントサイズを出来うる限り52mmφに統一していました。これが実はすごい足かせだったのです。35-105mmズームレンズは、当時の商品企画では常用標準ズームという位置付けでした。当然フィルターサイズは52mmΦだ!ということになったのです。そしてコンペの結果、高橋氏の設計案が勝利しました。高橋氏は35-105mm以外にも、その後開発される35-135mm、35-200mmのレンズタイプも開発しました。そして初めに製品になったのがAi Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5S。高橋氏はそれらズームレンズを開発した功績で、新組織「光学部第一光学課」のマネジャー(課長)になります。試作量産は周りの支援もあり順調に進みました。Ai Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5Sは光学系を流用してAFの時代まで長きに渡って生産され続け、皆様に末永く愛用していただいたのです。

それではAi Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5Sの開発履歴を見ていきましょう。設計は1981年頃開始され、1982年の桜も芽吹く春に試作が開始されます。その後、若干修正改良して再試作を行いました。この当時は試作を数回重ねることは日常茶飯事で、特別なことではありませんでした。そして、1982年夏に量産を開始。そして満を持して発売されたのが1983年4月。春の知らせが届くころに発売開始されたのです